王様の蝶 製作 ： 余白屋 種類 ： シェアウエア 版 PC： Ｗｉｎ98/98SE/Me/2000/XP/Vista/7 ボイス ： なし まだフルコンプしていないので、途中レビューです。 後ほど追加予定です。　済みません。途中で挫折しました…。 主人公ウカは、借金返済のため高額な報酬の「王様の蝶」、つまり愛人になろうとします。 どの国の王も、期間は１年で、形は蝶でも本来の蝶とは違う目的で雇いたいと言い、その理由は明かされません。 舞台が英国風、中東風、中華風と揃ったパラレル歴史世界です。なぜか言葉はどこでも通じるらしい。 攻略キャラは、ミシュトラ王国の王アルヴァイン、ラグーア城塞のスルタン・シャーニヤル、藍帝国の皇帝伏義の３人です。 ＢＬですから、ここは男の愛人を置くのが普通の世界らしいです。ルート制限があり、はじめは２つの国から選びます。 ■システム　絵柄 絵が独特で、服のセンスが…どうも不可解な気が…ごほんごほん。 テキストウインドウの色が薄くて文字が白抜きなので見づらく、字の方を集中して見ると、立ち絵の変化が殆ど目に入りません。 特にウカが顔グラで他キャラが立ち絵なので、視線を立ち絵まで飛ばすのが面倒になり、立ち絵を一番見ない状態に。 ウカの立ち絵が無いので存在感が無い。 また、まとまったログを見るのに二手間かかるので、ここは一回で表示できればよかったと思います。 時々読みづらい漢字があり、文脈でわかる範囲ですが、これワープロで変換されるままに載せてんだろうか。 時々何だっけ？と思う。 ラノベは気軽にあまり難しい頭使わずに読みたいので（しかも１８禁ではかっこつけてもしょーがないだろう）、 あんまりつっかえる事柄はない方がいいです。 （十二国記みたいな小説だって、別に難解な漢字を使わずにあれほど雰囲気を出せるのだから、要は文書力と 知識があれば、ぱっと読めないような字を使わなくても厚みのある物を書けます。 なので、漢字を使えばらしく見えると思うのは一番浅はかなやり方です…） ■ストーリー 始めたのですが…。 どのキャラも日常シーンが延々といつまでもって程続き、全然展開らしい物がなく、 キャラの背景や、「なぜウカを名目上の蝶にしたのか」がちらっとでも出てきません。 メリハリに欠け、何の話なのかずっとぼやけたままで…。 延々と話らしい物が無いので、だからどうなるんだ！ほんとに何か起こるの？と言う気になって来ます（「Ｄａｙｌｉｇｈｔ」と同じような感じだ）。 脚本のテンポはよくないです。 何の起伏もないまま最後まで行くので、途中の面白みは殆どないと思う。 だからそれは何故なのか？延々と出て来なくて同じような謎を繰り返すばかりなので、わかったから何故なのか見せてくれ！と思う。 選択肢があまりに少なく、最後まで選択肢が出て来ないってどういう事だ！？ 選択の変化で状況の変化の楽しみとかキャラのセリフの変化とか全然無いですよ！えー！？ 単に１本道の小説で最後が変わるだけって感じで…。 簡単とかそんなレベルじゃなくて、悪いけどゲームとしての面白みは無い…。 （この選択肢の無さでは言われても仕方ないだろう…） 相手をいつ好きになったのかも全然わからない。もう少し意識したり、戸惑ったりとか、何かないのか…。 いきなり好きだと言い出されても、それまでのドキドキするような過程の盛り上がりがないんじゃ、取って付けたようにしか見えないです。 テキストを進むにつれて違和感を感じるのは、理屈で説明するばかりで、読むと場面が見えるような勢いや描写が無いからだと思います。 また、世界観を出すための文化や背景描写が殆どありません。 どのルートでもそうですが、文化の描写がないと、パラレルでもいつ頃の時代のイメージなのかよくわからない。 なんちゃって的にあまり歴史色のない世界ならいいけど、この作品は割と歴史物っぽくしている割に背景がわからないので、 想像だけで進めていると、しょっちゅう頭で補っている感じで疲れてしまって、自然と引き込まれる感じが無いんです。 なので背景描写のフォローって必要なんだなあとか思ったんですが…。 パラレルなりに、どんな世界なのか書いてくれないとイメージできない…。 最初に魔道士が出て来るけど、ルート中は魔法的なエピソードはなかったり、舞台背景がバラバラな気がする…。 また、文章の量が多過ぎてくどい感じです。 小説と違ってウインドウで量が多過ぎると疲れるので、簡潔にテンポよくまとめてほしかった。 ■キャラ別 ウカ ウカって何してる人なんだろう。学生なのか町人なのか、年齢どのくらいなのか、最低限の設定すら出て来ません。 何故借金があるかも出て来ない。 どんな人なのか全く想像できないので、読者はさっぱりわからないまま進めなきゃならない。疲れる。 こう言う所が設定おかしいんではと思うんですが…。 素直なように見えて、自我の強いタイプみたいです。 表向き素直そうで、本当は屈折していて、それを見せないために素直にふるまっているような感じ… と言うのがちらちら見えてしまう。 最初はそう見えないのに後からちらちらわかってしまうので、抵抗がある…。 シャーニヤル 身の回りの世話と話相手をしてくれればいい、と言う事でウカを側に置きます。 王宮の普段の様子や風習、他の従者の描写が無いので、どんな場所での話なのか宙に浮いたようにイメージできません。 蝶と取り巻きの違いや、雇われの蝶と正式の蝶なんて後から出て来てそれの違いも説明されないので混乱します。 蝶と取り巻きって一体何が違うんでしょうか？ 基本の舞台が何なのかわからないのでは、もう何を読んでいるんだか訳がわからん、と言う状態に。 シャーニヤルが蝶と「一年以上過ごす事ができない」とか「嘘をつかなければならない」とか何度も繰り返すけど、 その理由がちらりとも出て来ないので、だから何故？とダレて来てしまう。 ウカが「元の自分に失望するかもしれない」とも何度も出ますが、なぜ失望なのかわからないし…。 理屈ばかりで「なぜ？」の面白みがないまま、展開が遅い。全体の構成がバラバラと言う感じです。 必要な説明もなく、読者の視点に立たずに進められると、作者の独りよがりっぽくて段々うんざりしてしまうんだよなあ…。 アルヴァイン 最初は厳格で立場をきっちりつける人かと思ったら、すぐウカのタメ口を許したり、キャラがよく作られていないです。 王様相手にすぐタメで話せると、王と言う立場が軽くなって歴史っぽくない。 ほんのちょっとした所に細かさ、つまりリアリティが無いんだよなあ…。 王が治世に長けていると言うなら、どんな制度なのか例がほしい。 例が無いと理屈だけで進めていて、段々キャラが空洞化して行きます。 アルヴァインがウカのいる後宮でしか気が休まらないと言うなら、外で臣下との様子がどうなのがちょっと書いてほしい。 このようにあちこちの面で説明だけでリアリティがありません。 大層なミルフィーユとかは出てきましたが「庶民のお菓子」が何なのかは出て来ない。それをアルヴァインが食べる描写でも、 何を食べているのかわからないのでは意外性の印象にならない気がするのだが…。 何故書かないんだろう……？？？？ 庶民以外の菓子の名前だけは時代考証無視のように次々に出てくる（おい）。シブーストとかフランス菓子じゃあ…。どこから伝来したんだ？ 英国調なら食も英国風の方がらしいと思うなあ…。世界観が一貫していないので余計バラけた印象です。 以下ネタばれあり　（批判的な内容を含みます） シャーニヤル いつお互い好きになったのか全然出て来ない。それらしい心理描写が全然ないままで、唐突で不自然でした。 何だかあきれたような結果でした。同姓で結婚できる国はあるだろうけど、どうして相手に女の衣装を着せなきゃならないんでしょうか。 同姓でいいなら女の変わりみたいに扱う必要はないと思う。 結局女の変わり、乙女ゲーのＢＬ版と言うだけで、ＢＬじゃなきゃいけない必要はないですね。 こんなのを見たくてゲームしていた訳じゃないんですが。乙女ゲー願望なら乙女ゲーでやってほしいです。 なんでＢＬでやらなきゃならないんだろう…。ＢＬに男女の変わりを持ち込むのはやめてほしいです。 ＢＬで主人公を女みたいに扱って願望投影するのは勘弁して下さい。一番苦手な部類です…。 乙女ゲーのベタベタ投影ならまだしも、ＢＬで投影って……。 こう言うのって・・・・・・・・と思ってしまいます。 アルヴァイン 近親婚と言うのは王家では割とあった事らしく、それで血統が変になっちゃったえぐい話も多いのですが…。 王家で異常な潔癖症と言う辺りから何となく想像はつきましたが、やっぱりか……と思いました。 正直言ってこの手の話は苦手です。本人のせいではなくても抵抗は簡単には消せない…。 なのでこのルートを続けるのは辛かったです。 ラノベに言う事かどうかですが、この手のモラルを問う事を簡単に扱うのってどうなんだろう…と言う気がします。 ウカも、そんなに簡単に受け入れられるのか、何もわかってないんじゃないかと思う…。 ラノベで扱うには余る事だと思う。人間関係を形式でしか考えていないと思います。 全体のリアリティの無さもその辺から来ているような気がします。 アルヴァインの父が彼を王位につけるため何でもして、国は荒れに荒れて、アルヴァインが言うには、 「私以外残らないほど何もなくなった…」と言うけど、アルヴァインが即位して何年なのだろう？ 年齢から言ってまだ５年前後じゃないかと思いますが、たったそれだけで前王が荒らした国を、 以前の荒廃が見えなくなるほど平和にできるだろうか。まだ覚えている人も多いだろう。 前後の関係的にちょっと無理があるのでは…。 BACK